ポカリスエットのヒットの裏側 〜大塚製薬に学ぶコンセプトと戦略の関係性


今日は大塚製薬



大塚製薬と言えば、そうオロナミンC、

いやそれは人によって違うやろ、という反論はさておき、



そのオロナミンCではなく、ポカリスエットの話題を。

元ネタは「ルビコンの決断」です。



突然ですが、新商品を販売するときは

モニター調査をしますね。



モックアップやサンプルを街中で使ってもらったり

飲んでもらったりするアレです。



実は大塚製薬は社内やそういった調査で

9割以上支持された商品は商品化しないそうです。



それはなぜか、



そこにオリジナリティーがないと判断できるから

だそうです。





そんな大塚製薬が販売するポカリスエット

今でこそ30年の長い歴史を刻むヒット商品ですが、

当初は誰にも支持されませんでした。



そもそもポカリスエットとは「汗の飲料」、

汗で奪われた成分を補給するために汗の成分から作られています。

運動等で汗をかいた後の成分補給、



そのコンセプトはとても明確です。





しかし、そもそもこの発売にも取締役は全員反対したそうです。

なぜなら美味しくないから。



今でこそ、健康志向の高まりによって

水などの味がない、または薄いものが流行っていますが、

30年前はそうでもありませんでした。



基本的に飲み物は甘いもの、

そこにポカリスエットの糖質を抑えた薄い味は

とても受け入れられません。



しかし、そのコンセプトの正しさを信じていた

当時の大塚社長は決断します。



取締役を押し切り、発売開始!!



・・・しかし、やはり売れません。



社員もお手上げの状態でしたが、

ここで「ひたすら無料配布」作戦が始まります。



結果から言うと、初年度は3000万本を無料配布したそうです。

3000万本というと当時40億の損害です。



それでも、社長の決断は揺るがず、

今の利益よりも、将来の利益を求めて

無料配布を続けます。



無料配布の場所も

汗の飲料としてのコンセプトが分かってもらえる

風呂や野球のグラウンド等です。



街を汗をかきながら歩いている人を対象に

配布している営業の方もおられたそうです。



そうこうする内に1年が過ぎますが、

売り上げは一向にあがらずでした。





そして2年目の夏、

それは暑い夏だったそうです。



話の流れ上、もうお分かりでしょう。

1年かけて「汗をかいた後に飲んだら美味しい」という売りの体験宣伝を

徹底してきたポカリスエットはここで爆発的に大ヒットを飛ばします。



後は、皆さんの知るとおり、

今でもスポーツの後の飲料として確固たるポジションを確立しています。







面白いと思うのは、

汗の成分を飲み物にしようとしてその発想ですが、



私が最も勉強になったと考えているのは、

無料配布の場所だと思います。





商品コンセプトを損なわない、

いやむしろそれを伝えるための無料配布場所の選定、





商品やサービスを使ってもらったり体験したりしてもらうためにも

ただ闇雲にやればいいわけではない、



そこにはきちんとしたコンセプトに基づいた理由が

のるはずなのです。



言われてみれば、そりゃそうだと思うかもしれませんが、

例えばパンフレットを作ったとして、それをどこで配ろうと思いますか?

街で通りがかるより多くの人に配ろう、

たくさんの人に見てもらえば買ってくれる可能性もあがる、

なんて思い浮かんだりしませんか?





それもひとつの作戦だとは思いますが、

より効率的に、そして何より商品コンセプトがぼやけさせない戦略、

その徹底ぶりが生んだヒットと言っても過言ではないでしょう。



ターゲティング、ポジショニング、セグメンテーション、

マーケティングの基本要素を含んだ大変勉強になる実例でした。