GREEN DA・KA・RAと本家DAKARAの違いと狙いを紐解いてみた

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 先日、サントリーからGREEN DAKARAなる飲料が発売された。私は、電車のつり広告で見かけたので、早速コンビニで購入して飲んでみた。感想としては「あまりDAKARAと変わらない」につきるのだが、サントリーがそんなカニバリ(共食い)を起こすような製品を出すわけがないとDAKARAのWebサイトとGREEN DAKARAのWebサイトをじっと見ていたらばやはり違いはあった。

GREEN DAKARADAKARAの違い

 結論から言えば、ナトリウムの含有量が異なっていた。同含有量はDAKARA 0mgに対し、GREEN DAKARAは40mg/100mlである。これは何を意味しているのかを考えてみる。

そもそもDAKARAはどうやって生まれたか


 さて、ここで話をDAKARAの発売前に戻してみたい。DAKARAと似たような(?)飲料と言えばアクエリアスとポカリであるが、この2強にDAKARAはどう立ち向かったのだろうか。これは有名な話だが、この3者のポジショニングを見てみると分かる。
 アクエリアスは「アスリートが選んだ水分補給」を訴求するくらいスポーツのおともにというポジションは明確だ。ポカリはどうだろうか。スムーズな水分補給を追求し「発汗状態におかれている場合に飲む飲料」というポジションをとっている。一般的には病気や二日酔いに、というイメージも根強いことだろう。
 そこへDAKARAはどんなポジショニングで戦いを挑んだのだろう。DAKARAが実は「病気予防」というポジショニングをとっている。具体的には、日本人に日々不足しがちな栄養素を補うというポジショニングである。そのため、カルシウム、マグネシウムカリウム、ビタミン、食物繊維、ナイアシンなどの不足しがちな成分を含んでいるわけだ。

GREEN DAKARADAKARAは補給対象が違う

 DAKARAは「日々不足しがちな栄養素補給」というからには、毎日の水分補給が狙いなはずだ。といったところでGREEN DAKARAのサイトを見てみるとこう書いてある。

「日常生活において汗などで失われた水分とミネラルを効率良く体に補給できるように、11種類の素材と純粋だけでミネラル濃度と浸透圧を調整しました」

つまり、日常の水分補給には違いないが、水分に加えてミネラル(ナトリウム、カリウム)を補給というところがDAKARAとの明確な違いなわけだ。

GREEN DAKARAの狙い

 ではなぜGREEN DAKARAはミネラル補給なのか。実は熱中症対策である。GREEN DAKARAのサイトにも書いてあるが、熱中症に関しては環境省熱中症環境保険マニュアルというものを出しており、その中にこんなことが書いてある。

汗をたくさんかく場合には塩分の補給も必要です。(略)(飲料の場合、ナトリウム量は100mlあたり40〜80mgが適当)

原発の再稼動は厳しい最中、今年も節電は必至、そうなれば熱中症ももちろん増加する。そうした動きに対応したナトリウム補給飲料というわけだ。熱中症対策飲料と言っても良いかもしれない。

製品特性分析で考える

 製品特性で考えれば、DAKARAが中核に「不足しがちな栄養素を補う」を置いているのに対し、GREEN DAKARAは「汗によって奪われる塩分を補う」としているわけだ。(実体、付随機能は同じ)

両者のターゲット

 ではターゲットはどうだろう。ざっくり考えれば、日々の栄養素を補いたいと考えるのは大人であり、熱中症にかかり易いのは子供(&お年より)である。GREEN DAKARAのCMや広告に子供が使われていると考えれば、やはり子供が中心、とりわけ小学校低学年くらいまでがメインの層に違いない(地面と近いという点で)。

DAKARAではなくポカリと対立!?


 とここまで書いてくると、GREEN DAKARADAKARAと競合しないことは理解できるが、感のいい人は「それってポカリと競合してるんじゃ?」と思うに違いない。ポカリもナトリウムを49mg/100ml含んでいるので、きっとサントリーも考えただろう(ちなみにアクエリアスのナトリウム含有量は34mg/100mlと基準に満たない)。これに対してはサントリーのGREEN DAKARAのサイトにはこうも書いている。

11種類の素材由来のミネラルやアミノ酸クエン酸などを含んだ体にやさしい水分補給飲料なので、安心してお飲みいただけます。

おりしも原発による食材不振やら何やら、特に子供の体のために食材には気を配る母親は多いことだろう。サントリーはそこを上手くついている。社会状況を考慮した憎らしいほどの手の打ちようだ。