元ソニーの黒木靖夫氏に学ぶユーザの視点
今日は黒木靖夫さんのお話を。
ご存知の通り、黒木さんといえば、
ソニーのウォークマンの生みの親、
その商品開発から広告設計までに関わっていた人で、
「誰がどこでどんな風に使うのか」
を徹底して考える人だったといわれています。
そんな黒木さんを良く表現するエピソードを読みました。
今でこそ、ユーザビリティというところも重要視されますが、
昔は、技術のほうが優先されることが多かった、
つまり、技術部門の力が、特にメーカー系は圧倒的に強かったため、
ユーザビリティが先に考えるなんてことはなかった時代、
そんな中、
音声多重テレビのプロダクトデザインに関する業界団体の会議で、
当時の意匠部長として出席した黒木氏のエピソード、
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「まず、オートステレオというボタンをつけます。
これを押しておけば放送がステレオになれば自動的にステレオになります。
次にメインとサブのボタンをつけます。
これはメインの日本語放送かサブの外国語放送を選ぶためです。
最後にメイン・アンド・サブというボタンをつけます。
これは左側から日本語をきくと同時に右側から外国語を聞きたい人のためです。」
各社は不審顔だ。
他社:「それは技術サイドの設計思想か」
と聞くので
「いいえ違います。技術サイドとは話合っていません。
しかし使い勝手を考えるとこれは簡単でベストだと思います。
このように設計してもらうつもりです。」
・・・(中略)
この出来事を契機として、
デザイナー側のソフトウェアの論理がハードウェアの設計を
動かすことになった
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(佐藤 尚之著「明日の広告」から引用)
とても心動かされます。
時代背景も考えるとものすごいことのように思いますね。
時代は変わったとは言え、
私は技術を無視して提案することはできませんが、
ここまで出来ることはないまでも
プロダクトデザインとは、如何にユーザのことを考えるべきかということを
考えさせられます。
商品開発思想の段階から
既にユーザとのコミュニケーションは始まっている、
ユーザが「どこでどんな風に使うのか」、
その結果生まれるものが商品であるというのが理想ですが、
そうは中々できない事情も世の中にはたくさんあることも理解しているつもりです。
そうした中でも、
ひとつはコミュニケーション・デザインといわれる
真の意味で商品開発コンセプトから戦略も含めて、
全体のコミュニケーションをデザインする人、
というのが、業種を問わずどの企業にも必要、
そうした人に求められる能力は幅広いですが、
まずは広い視野をもつということと
顧客の視点というところを意識する癖をつける、
ということがまず第一歩なんだと思いますね。