契約が信頼を損ねるとき・・・


今日は契約と信頼について。



契約が信頼関係を壊すときがある、

と言われます。





物事は、特にビジネスの世界は、

契約にのっとって進めていかなければならないため、

契約で揉め事が起こると現場の作業がとまってしまうことすらあります。

(やって良いのかどうか・・・契約の範囲内か・・・)



顧客との関係を決めているのは契約だ、

だから現場のマネージャは顧客との関係について何もする必要がない、



特にアメリカ社会ではそういうことが強いようです。





しかし、一方、顧客の視点からすると

顧客が契約を更新する場合、

覚えている唯一のこと、

それは



「契約の範囲を超えて支援した日のこと」



だけだそうです。



これは割りと人間らしく、

最もだと思える意見です。





(契約の範囲を超えて支援することは)

短期的に被る不便と損失を補って、なお余りある、





というのがなんとも皮肉な結論なわけですが、

実際にその判断の裁量をどこまで広げるかというのは

かなり難しいところでしょう。



顧客の性格にも多分に影響するところでしょうし、

ひとつの交渉術の範囲になるのかもしれませんが、



そうした可能性を組織的に厳格に(必ず)NGとしておかないこと、

というのは間違いない事実のように思います。





契約で言えば、

2年前まで12年ヤンキースを率いた

名将、ジョートーリ監督



彼は、13年目の単年度契約を結ぶ際、

その契約条項を侮辱と感じて断ったのだそうです。



その契約条項とは、



・基本給は前契約より低い

・しかし、プレーオフに出場し、ワールドシリーズを制覇した場合は、

多額のインセンティブを約束する



というものでした。





なぜトーリ監督はこれを侮辱と感じたのか、

それは、



インセンティブがなければ

私(ジョートーリ監督)が最善を尽くさないのではないかと疑っている



だそうです。





結果、トーリ監督

より安い契約でドジャースの監督を引き受けました。





特に名声や十分な実績がある人の場合、

こうしたことが起こりやすいようです。





契約、

一口にいっても色々な世界で色々な契約があります。

契約そのものも難しいものですが、



前述の例のように、

契約を超える部分の裁量というのは

特に日本では重要な部分なような気がしますね。