ベランダ菜園 「袋で育てる野菜セット」が節約・食育に貢献

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 園芸資材を製造・販売するプロトリーフが消費者の需要の変化に対応した戦略を推しすすめ、成長している。プロトリーフは3月に「袋で育てる菜園セット」を発売。ミニトマト、きゅうり、ナスが袋のまま育てられ、価格は980円とお手ごろだ。収穫も体験できるため、子供の食育にも役立つ。

 園芸資材は根強い園芸ファンが支えている、のは一側面では間違いではない。しかし、潜在的ニーズはないのだろうか。そこをプロトリーフは掘り起こした。この「袋で育てる菜園セット」のターゲットは、「都心のマンションに住む、共働きで子供がいる世帯(の女性)」である。都心、しかもマンションで、共働き、さらに子供がいる世帯とずいぶんと絞り込んできたが、これには訳がある。説明するまでもなく、同世帯では庭もない家庭が多い、ちょっとした菜園ならと思っても、プランターを買って、肥料を・・・とまでするのは億劫である。ならば、と億劫さには必要なものはすべて入ったセットもので対応している(しかも衣料用の粉末洗剤2個程度の大きさとコンパクト)。子供がいると土を食べたりこぼされたりするのも心配だが、そこも「袋で育てる」ということで解決している。

 実はこれは社会状況から考えてもとても秀逸な戦略のように思う。都会は土が少なく、土に触れる機会を持たせてあげたいと思うマンション住まいの親は多いことだろう。また、都会ではとくに偏食などから「食育」にも力を入れている。さらに、昨年から節電/経済の停滞から節約志向世帯の心も捉えるに違いない。
 
 また、漏れなく同社も高齢者に対応している。土は重くて持ち運ぶのが大変だが、高齢者にも大丈夫なように11年にジュートプランターという麻で作った持ち手付きのバッグも販売している。省スペースと持ち運びやすさを考えた高齢者対応だ。

 こうした社会や経済の動向、いわゆるPEST分析がしっかりとなされた戦略ととらえることができる。この事例はプロトリーフの綿密なマーケティングによる新しいニーズの発掘が成功している事例ではあるが、その前提でビジネスモデルを見てみるとこんな感じになる。

 ・菜園ファン等による、土や菜園カバー、はさみ等を総合的に販売する合計モデル
 ・肥料は定期的に必要なので継続モデル

 図で書くとこんな感じになる。


 
 この二つのモデルの融合体であり、「袋で育てる菜園セット」でつかんだ層が菜園ファンに育てることで、本体の収益もあがることを狙っている。