フィットネス施設「カーブス」のサンプリング業務拡大の狙い

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 先日のコナミスポーツクラブに続いて、フィットネスクラブもので。カーブスは株式会社カーブスジャパンが経営するフランチャイズチェーンシステムによるフィットネス施設。2005年に設立し、2011年6月には店舗は全国に1000店以上、会員数は40万人にのぼる。また、会員誌カーブスマガジンは全国の会員に向けて約30万部発行されている。そんなカーブスが企業から受託するサンプリング業務を拡大する。

 サンプリング業務とは、企業がカーブスにサンプルを提供し、それをカーブスのインストラクタを通じて会員にサンプリングしたり、前述の「カーブスマガジン」に広告をだしたりすることだ。サンプルを提供する企業は大塚製薬等の健康食品メーカーやスポーツ飲料メーカー等である。

 サンプルを提供する各企業の狙いは何だろうか。その最大の狙いはチャネルの確保にある。カーブスが持つ中高年を中心とした40万人以上の会員は、高齢化社会の中、健康に気を使う層に違いない。実はカーブスは女性限定、かつ40代以上が88%を占めている層としては限定されている。健康や美容に興味のある数十万人の女性に直接サンプリングできるチャネルはそうそうない。特に健康食品や栄養食品を販売する企業にとっては非常に有効なチャネルになる。カーブスの受注単価は、3万〜5万個で1個50円、パンフ等の印刷物を提供する場合は追加で1枚10円と結構シビアの価格だが、コスト対効果という面ではそれでもサンプリング企業側にメリットはある。
 また、カーブスはサンプリング業務を請け負う企業としても差別化をはかっている。カーブス会員を利用した高いアンケート回答率によって会員の評価や要望を企業に提供できることは、他の企業にはできない差別化ポイントになる。
 
 もちろんこのサンプリング業務はカーブスにとってもただ利益を得るための副業事業ではない。カーブスはこの業務を通じた会員増を狙っている。会員にとってはサンプリング商品は無料でもらえる商品、これによって得した感を会員に与え、クチコミや満足度向上に寄与しているわけだ。 

 そんなカーブスの事業をビジネスモデルにまとめるとポイントは3点。

 ・フィットネス会員による月額収入の継続モデル
 ・サンプリング業務によって企業と消費者のマッチングの場を提供するマッチングモデル
 ・(カーブスを宣伝の場と考えれば)広告の場を提供する広告モデル

図解するとこんな感じになる。