出産を控えた女性をターゲット、スタジオアリスの試み

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 スタジオアリスは我が家もお世話になっているが、主に子供が中心(ターゲットは子持ちの母親でしょう)。お宮参りから入園式や卒業式、成人式まで子供の成長を記録したいというニーズに答えるアリス、ビジネスモデルは分かり易く「継続モデル」。こんな感じ。


無料セミナーを開催

 そんなアリスが無料セミナーを開始した。内容は「出産・育児」でもちろん対象は「出産を控えた女性」である。日経MJによると「自社店舗で出産や育児に関する無料セミナー開き、出産後に親子で継続して写真撮影に訪れる固定客を育てる。出産前から店舗に親しんでもらい潜在顧客として囲い込む」とある。要は、基本的に今まで子持ちの母親がターゲットなのだが、ターゲットになる前から潜在顧客として囲い込み、よりターゲットの獲得率を上げる作戦なわけだ。

妊婦姿を無料撮影

 さらに無料セミナーでは妊婦姿を無料で撮影し「出産後のお宮参り」と「百日記念」の写真を入れられる2枚分の空きスペースのある台紙で配られるという。再来店したくなる方策としてはとても秀逸というか抜け目ない戦術だ。これを前述のモデルに付け加えるとこうなる。

 いわゆるフリーなモデルでいうと無料だったはずがついついお金を払ってしまう「直接的内部相互扶助」に近い。妊婦姿からお宮参り、「こういう軌跡を経て生まれた」という歴史を残すことにニーズがないはずはない。まさに潜在顧客の囲い込みという言葉がぴったりと当てはまる。

そういえばトヨタも・・・

 この手法、ふとどこかで見たような気がした。そう、少し前に話題になったトヨタドラえもんCMである。何げに見ていると分からないがあのCMに違和感を感じないだろうか。車のCMなのに免許を持っていないのび太くんが主役なのである。トヨタとしては直接的なターゲットはもちろん免許を持っている人に違いないが、若い世代の減少と車離れに対応して、免許を持っていない潜在顧客に目を向けたCMだったわけだ。今回のアリスもまだ子供が産まれていない世代をターゲットとしたことに共通の手法を感じる。こちらも出生率の低下でトヨタと似たような状況にあると考えれば納得だ。

 日本では超高齢化社会に向かい、こうした潜在顧客の掘り起こし手法というのは今後もっと盛んになっていくと予想している。