薬局併設型ローソンの狙いを紐解いてみた

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 一昨日の日経MJ調剤薬局クオールコンビニエンスストア併設の薬局の出店を加速するという記事があった。もともとNaturalローソンと薬局を併設するためにローソンと提携していたクオールだが、ここにきて「Naturalローソン」だけではなく「ローソン」ともコンビニ併設の薬局をするらしい。そもそも、コンビニと薬局がなぜ併設するのか、その辺りの歴史とビジネスモデルの変化を紐解いてみた。

通院客と健康志向の女性

 まずコンビニとしてのNaturalローソンだが、これはいわずもがな健康志向の客、もっというと20代から30代の女性をターゲットとしていた。一方、クオールだが、こちらはいわゆる門前薬局として病院前の立地で薬を処方する、いわゆる通院客が最大のターゲットとなる。図にするとこんな感じ。

コンビニ併設薬局の誕生

 コンビニ併設薬局、いわゆる別々のターゲットを持っていたローソンとクオールの共同出店が始まる。確か2010年末だったか。その時のビジネスモデルはこんな感じになる。

 クオールのHPから戦略を見ると、病院前に多数の調剤薬局で競争することをやめ、マンツーマン薬局を目指す、と。そして、そういったポジショニングの変更とともに、高齢者社会を見据え、ターゲットを通院客から健康志向の強い顧客に向け、同ターゲットであるNaturakローソンと提携、といったところ。また、そういった社会環境の変化に加えて、TPP等を考慮した外部環境の変化にも対応しようとする姿勢が見られる。
 一方、ローソン側は薬事法の改定によって薬を売ることができるが、専門家が必要である。さらには、こっちも高齢者社会を考えれば通院客が増えると考えられ、処方箋ついでの顧客獲得が見込める。ローソン発表では「通常のコンビニと医薬品関連の店舗が手を結び、各種日常品と医薬品・健康管理サービスが一か所で提供でき、特に高齢者が求める「ワンストップショッピング」の声に応えることが可能」としている。まさに、という感じだ。

Naturalだけでは・・・

 クオール側は、20代から30代の健康志向の高い女性が多く、かつ処方箋を出す医療機関が近い立地の場所で最大の売上を果たせるはずだが、そんな場所が思ったよりなかった。そこで、クオールはNaturalローソンだけでなく、ローソン、ローソン100・・・とローソンチェーンすべてに手を広げようとしている。コンビニ利用者というちょっと広めのターゲットを一気に持ち去ろうとしているわけだ。若干強引なターゲット設定な気もするものの、高齢者社会とコンビニの品揃え、店舗の多さを考えれば、高齢者の多い地区ならば大いにその威力を発揮しそうなものだ。ちなみに店舗はクオールがローソンのフランチャイジーとして運営するようなので最終的にはこんな感じ。


一口に提携と言えど・・・

 一口に企業提携と言えども、双方にポジショニングやターゲットの変化が見られる。今回は社会や外部の環境、法律改定など様々な事象が絡み合っている。こうしたところを図解しながら読み解いていくのはビジネス上とても意義があるし、いわゆるビジネスモデルを考えてみるには最適だと思う最近です。(仮に間違っていようともww)