近くのサンクスが次々に閉店していった理由を紐解いてみた
最近、関東のサンクスが次々と閉店して消費者の驚きを誘った。twitterでも騒がれた。
@akk0_0 近くのサンクスが3軒立て続けに閉店!何かあったの? @nikukyu_hana 帝劇地下のサンクスが閉店している((((;゚Д゚))))))) @saki_misa 家の近くのサンクスがどこも閉店しているんだけど、つぶれたの?? ...
などなど。
私の家の前のサンクスもつぶれてすでにローソンがオープンしている。従業員は刷新されているように見えるが、オーナーは同じようだ。こうした閉店劇には何があったのか、その理由を紐解いてみた。
サークルKとサンクス
そもそも「サークルKサンクス」とは何なのか、から考えてみたい。コンビニとしては「サークルK」と「サンクス」であり、それぞれユニーと長崎屋の傘下だった。ところが長崎屋は経営悪化時に「サンクス」をユニーに売却する。01年「サークルK」と「サンクス」は持株会社の下で経営統合してその後に合併、それが2004年。なので「サークルKサンクス」というコンビニがあるわけではなく、あくまで「サークルK」と「サンクス」というコンビニがあって、その運営は「株式会社サークルKサンクス」(持株会社であったシーアンドエスとサークルケイ・ジャパン、サンクスアンドアソシエイツの3社が合併した新会社)が運営しています、ということだ。運営が新会社である「株式会社サークルKサンクス」になったというだけなので各店舗の看板が「サークルKサンクス」になったわけでもなく、今まで通りそれぞれの看板が用いられている。
サークルKサンクスの拡大戦略
さて、2012年度版の業界地図を見ると、主要コンビニの売上高シェアはこんな感じになっている。
1位 セブンイレブン:34.7% 2位 ローソン:19.8% 3位 ファミリーマート:17.0% 4位 サークルKサンクス:10.1%
合併後もこの数字なのだから、旧サンクス/サークルK単体ではもっとシェアが低かった。そんなサンクス/サークルKは、大手コンビニとシェアに追いつくために、エリアフランチャイズというライセンス形態を採用して一気にシェアを拡大しようとした。今回の閉店のもとをたどればこのライセンス形態に行き着く。
サークルKサンクスの契約形態
前述したとおり、旧サンクス/サークルKはエリアフランチャイズ(以下、AFC)というライセンス形態をとっていた(たしかファミリーマートもローソンもAFC方式をとっているはず)。AFCとは、フランチャイズを展開する企業が、他の事業主にフランチャイズ権をそのまま許諾(ライセンス)することだ。サンクスもサークルKもシェアを拡大するためには、自らがすべてを掌握するよりも各地域に詳しい事業主にライセンスした方が短期間でチェーン店舗の拡大が見込めるため、そうした方式をとった。ただ、サークルKサンクスは合併後に「旧サークルK」側のAFCはすべて吸収して本部直轄にしているようだが「旧サンクス」側は旧サンクスのAFCを継続している。
つまり
というようなモデルになっているわけだ。
サークルKサンクス最大のエリアフランチャイザーCVS
さて、そんなサークルKサンクス最大のエリアフランチャイザーはどこか。それが千葉を中心とするAFC、シー・ヴイ・エス・ベイエリア(以下、CVS)という会社である。
そのCVSが「チェーンの商品力やサービスに課題がある」として09年ごろにチェーン脱退の意向を本部に示した。要は、本部の商品力はAFCの収益にも影響するわけで、自身の努力の届かないその商品とかサービスが悪い部分が気に入らないってことで「もうサンクスやめる」と言い出したわけだ。ところが、サークルKサンクスが「中途解約権はない」として東京地裁に提訴して泥沼の戦いの後、11年の12月にCVSがサークルKサンクスに15億円を支払うということで和解しCVSは別チェーン展開が可能となった。その後、CVSはサークルKサンクスの代わりにローソンと契約。
ということで、CVS傘下にあった首都圏120件のサンクスが一気にローソンになりました、と。これがお近くのサンクスが次々と閉店してローソンになっている仕組み。